レクチャー

【シェードテイキングの基礎の基礎】露出を決めるカメラの仕組み

撮影に不慣れな歯科関係者にとっては、シェードテイキングにおけるカメラの設定に苦慮する場面も多いだろう。
今回の記事では、口腔内写真の撮影方法第一弾として、写真が写る仕組みについて解説していきたい。

光があるから写真が撮れる

写真撮影に最も必要なものは光である。
カメラの設定とは、”光をカメラに取り込む量”をコントロールするために行うものであり、基本的には『絞り』『シャッタースピード』『感度』の3つの要素によって、光を取り込む量を決定する。
光を過不足なく取り込んだ状態を『適正露出』と呼び、撮影者が意図した通りの写真の明るさが表現されたものを指す。
明るすぎるものは『露出過多(オーバー)』暗すぎるものは『露出不足(アンダー)』と覚えておこう。

絞りとは何か

絞りとはカメラ内部に通過させる光の大きさを調整する機構である。

絞り羽の写真
レンズには絞り羽根と呼ばれる部品があり、その羽根を開いたり閉じたりすることで、カメラ内部に光が通過する量を調整している。

絞りの開け閉め

 

水道とコップの関係で例えると、水量の調整が絞りの調整にあたる。
蛇口を大きくひねれば水の量は増え、コップにも早く水が溜まり、小さくひねれば水の量も減り、その分水が溜まる時間も長くなる。

絞りのイメージ
絞りのイメージ

絞りの単位はF値で表され、F1-F1.4-F2-F2.8-F4-F5.6-F8-F11-F16-F22…といった並びが絞り値の基本的な並びで、√2を掛け続けた並びが1段ずつの表記となっている。

”1段”とは露出を決定する際に用いる単位であり、1段明るくすると光を取り込む量は2倍になる。
例えばF5.6から2段しぼるとF11となり、露出は暗くなる。

このF値が小さいほど光を取り込む量は大きくなるが、被写界深度が浅くなってしまう。
歯科でのシェードテイクでは、前歯部から臼歯部まで深くピントを合わせたいので、F16付近が実用範囲だろう。

シャッタースピードとは何か

シャッタースピードとはカメラ内部に光を取り込む時間を調整する機構である。
シャッターはデジタルカメラ内部のイメージセンサーの手前にあり、二枚のシャッターが開いたり閉じたりすることで、カメラ内部に光が通過する時間を調整している。

デジタル一眼レフのシャッター
デジタル一眼レフのシャッター

多くのカメラは、縦方向に開閉するシャッターを備える。

水道とコップの関係で例えると、水を出す時間がシャッタースピードの調整にあたる。
長い時間蛇口を開ければ水の総量は増え、大きなコップにも水が溜まる。短い時間開ければ水の総量も減り、小さなコップを満たすことしかできない。

シャッタースピードの単位は秒で表され、バルブ(開放)…30-15-8-4-2-1-1/2-1/4-1/8-1/15-1/30-1/60-1/125-1/250…といった並びがシャッタースピードの基本的な並びである。
先にも述べたが、1段で光の量は2倍となるので、シャッタースピードは倍数が基本となる。
シャッターを長い時間開けるほど光を取り込む量は大きくなるが、手ぶれの原因となってしまう。
歯科でのシェードテイクには、1/200付近を使用する。
これはストロボ撮影を前提とした数値である。
カメラによって違いはあるが、ストロボと同調できる限界のシャッタースピードがあり、多くの場合は1/200~1/250程度に設計されている。
ストロボによってはハイスピードシンクロという機能もあるが、歯科のシェードテイクに用いられることはないと考えて良い。

感度とは何か

ISOやASAと呼ばれる感度とは、デジタルカメラにおいてはイメージセンサーの”光に対する感度”のことである。
イメージセンサーとはフィルムカメラで言うところのフィルムにあたり、感度の高いフィルムほど少ない光の量でも露出を得ることが出来る。

デジタル一眼レフのイメージセンサー
デジタル一眼レフのイメージセンサー

水道とコップの関係で例えると、コップの大きさが感度の調整にあたる。

サイズ違いのグラス
大きなコップ(感度の低いフィルム)に水を満たすには、蛇口を大きくひねり、長時間水を出さなければならないが、小さなコップ(感度の高いフィルム)に水を満たすには、蛇口を小さくひねり、短時間水を出すだけでよい。

感度の単位はISO(ASA)で表され、ISO100、ISO200、ISO400、ISO800、ISO1600…といった並びが感度の基本的な並びである。
シャッタースピード同様、感度は倍数が基本となる。

感度が低いほど画質が向上し、感度が高いほどノイズが発生するため画質は低下する。
歯科でのシェードテイクには、カメラやストロボの性能にもよるが、ISO100付近を使用する。
これもストロボ撮影を前提とした数値である。

合い言葉は「サニーシックスティーン」

歯科でのシェードテイクとは無関係だが、少しカメラに興味が出て来た方へ向けて、応用編として是非覚えて欲しいのが「サニーシックスティーン」という言葉だ。
これまでに『絞り』『シャッタースピード』『ISO(ASA)感度』という単語が出て来たが、マニュアルカメラで撮影を行うときなど、どのような設定であれば適正露出が得られるかわからない場合に思い出して欲しい。
「サニーシックスティーン」とは、”快晴下でISO感度とシャッタースピードを揃えた際に、F16の絞り値”を設定すれば適正露出になるというものである。

例えば、晴天下であれば『感度はISO100』で『シャッタースピードを1/125』、『絞りF16』でおおよそ適正露出が得られる。

雲が出て来たら2段落ち、日陰に入ればさらに3段落ちといった具合に覚えておけば、ある程度のシーンに対応することができる。

シェードテイキングでは『絞り優先モード』や、『シャッタースピード優先モード』などは使用せず、ストロボと組み合わせた『マニュアルモード』のみで撮影することがほとんどであるため、サニーシックスティーンを応用して、日頃からマニュアル撮影に親しんでもらいたい。

まとめ

・絞りはカメラ内部に通過させる光の大きさを調整し、ストロボを使用するマクロ撮影のシェードテイクでは『F16』付近に設定する。
・シャッタースピードはカメラ内部に光を取り込む時間を調整し、ストロボを使用するマクロ撮影のシェードテイクでは『1/200秒』に設定する。
・ISO感度はイメージセンサの”光に対する感度”を調整し、ストロボを使用するマクロ撮影のシェードテイクでは『ISO100』に設定する。

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